放射線治療の疲労(倦怠感)|原因・続く期間・対処法を専門医が解説

2026年4月6日

患者

放射線治療を始めてから、
体がだるくて疲れやすいです。

放射線治療医

放射線治療では疲労(倦怠感)はとてもよくある症状です。

患者

やはりそうなんですね。

放射線治療医

多くは治療の影響で起こり、
時間とともに改善することが多いです。

放射線治療を受けている患者さんの多くが経験する症状の一つが、疲労(倦怠感)です。

「体がだるい」
「今までより疲れやすい」
「何もしていないのに疲れる」

このような症状は珍しくありません。

放射線治療による疲労は、世界中の研究で30〜80%の患者に起こると報告されています。

しかし、

  • なぜ疲れるのか
  • どのくらい続くのか
  • どう対処すればよいのか

については、あまり詳しく知られていません。

この記事では、国際ガイドラインや最新研究の知見をもとに

  • 放射線治療で疲労が起こる理由
  • 疲労が起こる時期
  • 回復までの期間
  • 疲労を軽くする対処法

を専門医の視点から解説します。

まずは放射線治療の副作用の全体像を知りたい方は
「放射線治療の副作用まとめ」をご覧ください。


放射線治療で疲労(倦怠感)はよくある副作用

患者

こんなに疲れるのは、
自分だけかと思っていました。

放射線治療医

そう感じる方は多いです。

患者

実際には多いのでしょうか?

放射線治療医

研究では半数以上の患者さんが疲労を経験すると報告されています。

放射線治療による疲労は

Cancer-related fatigue(がん関連疲労)

と呼ばれ、世界的にもよく知られている副作用です。

米国の研究では

  • 放射線治療患者の約50〜80%
  • 治療後も数週間続くことがある

と報告されています。

参考
National Cancer Institute
https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/side-effects/fatigue

重要なのは

異常ではない副作用である

という点です。

ただし

  • 強く続く場合
  • 日常生活に影響する場合

は医療者への相談が重要です。


患者

そもそも、どうして放射線治療でこんなに疲れるのでしょうか?

放射線治療医

よくある疑問です。

患者

体力が落ちているからですか?

放射線治療医

それだけではなく、体の炎症反応や回復のためのエネルギー消費など、いくつかの要因が関係しています。

患者

体の中で変化が起きているのですね。

放射線治療医

はい。疲労は体が治療に反応しているサインでもあります。


放射線治療の疲労の原因

放射線治療の疲労は、単一の原因ではなく複数の要因が関与します。

国際的ながん支持療法ガイドラインでは、主に以下が関与するとされています。

参考
Multinational Association of Supportive Care in Cancer
https://mascc.org

炎症反応

放射線治療は

体内で炎症反応を引き起こします

これにより

  • サイトカイン
  • 炎症性物質

が増加し、疲労感が生じると考えられています。


エネルギー消費の増加

放射線治療では

体の修復反応

が起こります。

この過程ではエネルギーが消費されるため

  • 疲れやすい
  • 体力が落ちる

と感じることがあります。


睡眠障害

治療中は

  • 不安
  • 痛み
  • 通院

などの影響で睡眠が浅くなることがあります。

これも疲労の原因になります。


放射線宿酔

放射線治療では

放射線宿酔

と呼ばれる症状が起こることがあります。

これは

  • 倦怠感
  • 吐き気
  • 食欲低下

などが起こる状態です。

詳しくはこちら
「放射線宿酔とは|原因と症状」


疲労はいつから起こる?

放射線治療の疲労は

治療開始から2〜3週目頃

から出てくることが多いとされています。

その後

  • 治療終了まで徐々に増える
  • 治療終了後に改善する

という経過が一般的です。


治療後も疲労が続くことはある?

一部の患者さんでは

治療後もしばらく疲労が続く

ことがあります。

これは

  • 体の回復
  • 炎症反応
  • 体力低下

などが関係しています。

通常は

数週間〜数か月で改善

していきます。

詳しくはこちら
「放射線治療後の疲労感|回復までの期間」


疲労を軽くする対処法

患者

疲れているときは、
ずっと休んでいた方がいいですか?

放射線治療医

実は軽い運動の方が疲労改善に効果的とされています。

患者

運動した方がいいのですね。

放射線治療医

散歩など、無理のない範囲で体を動かすのがおすすめです。

がん関連疲労の対策として、国際ガイドラインで推奨されている方法があります。

参考
NCCN Guidelines – Cancer-Related Fatigue
https://www.nccn.org

軽い運動

意外に思われるかもしれませんが

最もエビデンスが強い対策は運動

です。

推奨

  • 散歩
  • 軽いストレッチ
  • ヨガ

無理のない範囲で行うことが大切です。

放射線治療中の運動についてはこちらの記事で解説しています。

放射線治療後の運動についてはこちらの記事で解説しています。


睡眠を整える

  • 毎日同じ時間に寝る
  • スマホを寝る前に見ない
  • 昼寝を長くしすぎない

これだけでも疲労が改善することがあります。

放射線治療中の睡眠についてはこちらの記事で解説しています。


栄養管理

疲労を感じると

食欲が低下すること

があります。

しかし

  • タンパク質
  • エネルギー

の摂取は回復に重要です。

放射線治療中の食事についてはこちらの記事で解説しています。

放射線治療後の食事についてはこちらの記事で解説しています。


医療者への相談

次のような場合は医療者に相談しましょう。

  • 強い疲労
  • 急に悪化した疲労
  • 日常生活が困難

貧血や甲状腺異常などが隠れている場合があります。

疲労が強いときに受診すべき症状

患者

疲労は普通の症状なら、
病院に相談しなくてもいいのでしょうか?

放射線治療医

基本的には問題ありません。

患者

では、どんなときに相談すべきですか?

放射線治療医

日常生活が難しいほどの疲労や急な悪化があれば相談してください。

放射線治療による疲労は多くの患者さんにみられる症状であり、多くの場合は治療の経過とともに改善していきます。

しかし、次のような症状がある場合には、他の原因が関係している可能性もあるため、医療者へ相談することが重要です。

強い疲労で日常生活が困難

  • 起き上がるのがつらい
  • 食事や入浴が難しい
  • 日常生活がほとんどできない

このような場合は、がん関連疲労が強く出ている可能性があります。

必要に応じて

  • 栄養管理
  • リハビリテーション
  • 薬物療法

などが検討されることがあります。


息切れや動悸を伴う疲労

疲労に加えて

  • 息切れ
  • 動悸
  • めまい

などがある場合は

貧血などの可能性があります。

放射線治療中には

  • 化学療法併用
  • 栄養状態の低下

などにより貧血が起こることがあります。


急に悪化した疲労

これまで問題なかった疲労が

急に強くなった場合

は注意が必要です。

例えば

  • 感染症
  • 脱水
  • 体調悪化

などが隠れている可能性があります。


治療後も長く続く疲労

多くの場合、放射線治療の疲労は

治療終了後に徐々に改善

していきます。

しかし

  • 数か月以上続く
  • 改善がみられない

場合は、主治医に相談することが大切です。

詳しくはこちら
放射線治療後の疲労感


吐き気や食欲低下を伴う疲労

疲労に加えて

  • 吐き気
  • 食欲低下

などがある場合は

放射線宿酔

が関係している可能性があります。

詳しくはこちら
放射線宿酔とは


放射線治療の疲労に関連する症状

放射線治療による疲労は、単独で起こるだけでなく、さまざまな症状と関連して現れることがあります。

疲労を感じる患者さんの中には、

  • 強い眠気
  • 体力低下
  • 全身のだるさ
  • 集中力の低下

などを同時に感じることがあります。

これらはがん関連疲労(Cancer-related fatigue)の一部として説明されることもあります。

症状の内容を理解しておくことで、不安を軽減し、適切な対処につながることがあります。

ここでは、放射線治療中に起こりやすい疲労関連症状について解説します。


放射線治療中の眠気

放射線治療を受けている患者さんの中には

「とにかく眠い」
「昼間も眠くなる」

と感じる方がいます。

これは

  • 疲労の影響
  • 睡眠リズムの変化
  • 体の修復反応

などが関係していると考えられています。

詳しくはこちら
放射線治療中の眠気


放射線治療による体力低下

放射線治療中は

  • 通院
  • 治療による体の負担
  • 食欲低下

などにより、体力が落ちたと感じることがあります。

体力低下は疲労感を強める要因の一つです。

詳しくはこちら
放射線治療による体力低下


放射線治療中のだるさ

疲労と似ていますが、

  • 体が重い
  • 動くのがつらい

と感じる場合は「だるさ」と表現されることがあります。

この症状は

  • 炎症反応
  • 睡眠不足
  • 栄養不足

などが関係している可能性があります。

詳しくはこちら
放射線治療中のだるさ


放射線治療中の集中力低下

疲労が強いと

  • 集中できない
  • 頭がぼんやりする

と感じることがあります。

これは

  • 疲労
  • 睡眠不足
  • ストレス

などが関係している可能性があります。

詳しくはこちら
放射線治療中の集中力低下


患者

疲れが続くと、
このまま治らないのではと不安になります。

放射線治療医

多くの疲労は治療後に徐々に改善します。

患者

少し安心しました。

放射線治療医

心配なときは主治医に相談することも大切です。


専門医コメント

放射線治療による疲労は、患者さんが非常によく経験する症状です。しかし多くの場合は治療の正常な反応の一つであり、時間とともに改善していきます。

最近の研究では、適度な運動が最も有効な対策であることが示されています。無理に頑張る必要はありませんが、体調のよい日に軽い散歩をするだけでも疲労の軽減につながる可能性があります。

疲労が強い場合や長く続く場合には、他の原因が隠れていることもありますので、遠慮なく主治医に相談してください。


まとめ

放射線治療では疲労(倦怠感)がよく起こります

ポイント

  • 多くの患者で起こる副作用
  • 治療2〜3週目頃から出やすい
  • 治療後に徐々に回復する
  • 軽い運動が最も有効な対策

疲労が続く場合や不安がある場合は、医療者に相談することが大切です。

放射線治療の副作用について詳しく知りたい方は
「放射線治療の副作用まとめ」


FAQ(よくある質問)

放射線治療で疲労はよく起こりますか?

はい。研究では30〜80%の患者に疲労がみられると報告されています。

疲労はいつから出ますか?

多くの場合、治療開始後2〜3週目頃から感じることが多いとされています。

疲労は治療後も続きますか?

治療後もしばらく続くことがありますが、通常は数週間〜数か月で改善します。

疲労が強い場合はどうすればよいですか?

日常生活に影響する場合は主治医へ相談してください。

疲労を軽くする方法はありますか?

軽い運動、睡眠改善、栄養管理などが有効とされています。

放射線宿酔とは何ですか?

放射線治療に伴い起こる倦怠感や吐き気などの症状です。
→「放射線宿酔とは」の記事をご覧ください。

運動しても大丈夫ですか?

体調の良い範囲での軽い運動は推奨されています。

疲労が長く続くのは異常ですか?

長期間続く場合は他の原因がないか医療者の確認が必要です。

放射線治療で眠くなりますか?

疲労の影響で眠気を感じることがあります。

食事は関係しますか?

十分な栄養摂取は疲労回復に重要です。


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  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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