放射線治療中の集中力低下|原因・対処法・いつ相談すべきかを専門医が解説

患者

放射線治療を始めてから、
仕事や読書に集中できなくなりました。
これって治療の影響でしょうか?

放射線治療医

はい、放射線治療中は疲労の影響で集中力が低下することがあります
多くの場合は一時的な症状なので、まずは安心してください。

放射線治療中に

  • 「集中できない」
  • 「本が読めない」
  • 「仕事のミスが増えた」

このような症状を感じる方は少なくありません。

実はこれは、放射線治療に伴う疲労(がん関連疲労)によって起こる代表的な症状の一つです。

多くの場合は一時的な症状であり、適切な対処で改善することが期待できます。

この記事では放射線治療専門医の立場から

  • 集中力低下の原因
  • 研究で分かっている対処法
  • 受診すべきサイン

をわかりやすく解説します。

※放射線治療の副作用全体については
内部リンク:放射線治療の副作用まとめ(親記事)


放射線治療中に集中力が低下するのは珍しくない

放射線治療中には

  • 集中力低下
  • 記憶力低下
  • 思考スピード低下

などの症状が出ることがあります。

これは海外では

Cancer-related cognitive impairment(CRCI)
(がん関連認知機能障害)

と呼ばれています。

特に以下の状況で起こりやすいとされています。

  • 放射線治療中
  • 抗がん剤併用治療中
  • 強い疲労があるとき
  • 睡眠不足

NCCNガイドラインでも、がん関連疲労に伴う症状として認知機能低下が起こることが指摘されています。

外部参考
NCCN Cancer-Related Fatigue Guidelines
https://www.nccn.org


放射線治療中の集中力低下の主な原因

集中力低下には、複数の要因が関係しています。

① がん関連疲労

最も大きな原因です。

放射線治療では

  • 炎症性サイトカイン増加
  • エネルギー代謝の変化
  • 自律神経変化

などが起こり、脳の働きにも影響すると考えられています。

これは

  • American Society of Clinical Oncology
  • European Society for Medical Oncology

のガイドラインでも報告されています。


② 睡眠障害

放射線治療中は

  • 不安
  • ストレス
  • 痛み
  • 夜間頻尿

などにより睡眠が浅くなることがあります。

睡眠不足は

  • 集中力低下
  • 記憶力低下
  • 判断力低下

の大きな原因になります。


③ 精神的ストレス

がん診断後には

  • 将来への不安
  • 仕事の問題
  • 家族の問題

など様々な心理的負担が生じます。

これらは脳の認知機能にも影響すると考えられています。


④ 治療そのものの影響

特に以下の場合は影響が出やすいとされています。

  • 脳腫瘍の放射線治療
  • 抗がん剤併用
  • 長期間治療

ただし、多くの患者さんでは軽度で一時的です。


患者

集中力が落ちるのは、
脳にダメージがあるということですか?

放射線治療医

多くの場合はそうではありません。
疲労や睡眠不足、ストレスなどが原因で起こることが多いと考えられています。


集中力低下はいつ改善する?

多くの場合

  • 治療終了後
  • 疲労の改善

とともに回復します。

研究では

治療終了後 数週間〜数ヶ月で改善することが多い
と報告されています。

ただし以下では長引くことがあります。

  • 強い疲労が続く
  • 睡眠障害がある
  • 抑うつ症状

その場合は医師に相談しましょう。


患者

集中できないときは、
どう過ごせばいいのでしょうか?

放射線治療医

無理をせず、作業を短時間に分けて休憩を増やすことが大切です。
軽い運動も疲労改善に役立つと報告されています。


集中力低下を改善する方法(研究で推奨される対策)

国際ガイドラインでは以下が推奨されています。

① 軽い運動

最もエビデンスが強い対策です。

  • 散歩
  • 軽いストレッチ
  • ヨガ

週3〜5回程度の軽い運動で

  • 疲労改善
  • 認知機能改善

が報告されています。

参考
ASCO Cancer-Related Fatigue Guideline

放射線治療中の運動についてはこちらの記事で解説しています。

ストレッチマット

国際ガイドラインでは、軽い運動はがん関連疲労の改善に有効とされています。

自宅でできる

  • ストレッチ
  • ヨガ
  • 軽い体操

などを行うためにストレッチマットがあると便利です。

特に厚みのあるマットは

  • 体への負担が少ない
  • 安全にストレッチできる

ため、自宅での軽い運動に向いています。


② 睡眠を整える

以下が推奨されています。

  • 毎日同じ時間に寝る
  • 昼寝は短時間
  • 就寝前スマホを控える

睡眠改善だけで集中力が回復することもあります。

放射線治療中の睡眠についてはこちらの記事で解説しています。

睡眠改善グッズ

放射線治療中は睡眠の質が低下しやすく、これが集中力低下の原因になることがあります。
遮光性の高いアイマスクを使用すると、睡眠環境を整えることができます。

特に3D構造のアイマスクは

  • 目を圧迫しない
  • 遮光性が高い
  • 軽量で使いやすい

という特徴があります。

睡眠環境を整えることは、疲労改善や集中力回復にも重要です。


③ 作業を小さく分ける

集中できないときは

  • 作業を細かく分ける
  • 休憩を多くする

ことが重要です。

25分作業

5分休憩

(ポモドーロテクニック)

低反発クッション

長時間座って作業する場合、姿勢が崩れると

  • 疲労
  • 集中力低下
  • 肩こり

につながることがあります。

低反発クッションを使用すると

  • 姿勢を保ちやすい
  • 腰やお尻の負担軽減
  • 作業の快適性向上

が期待できます。

集中力が落ちているときは、作業環境を整えることも重要な対策です。


④ 栄養状態を整える

以下は疲労改善に重要です。

  • たんぱく質
  • ビタミンB群
  • 鉄分

食事が難しい場合は栄養補助食品も検討できます。

放射線治療中の食事についてはこちらの記事で解説しています。


こんな場合は医師に相談しましょう

患者

集中力がかなり落ちてしまって、
仕事に支障が出ています…

放射線治療医

その場合は遠慮せず主治医に相談してください。
疲労だけでなく睡眠障害やストレスが関係していることもあります。

次の症状がある場合は医療相談をおすすめします。

  • 強い集中力低下
  • 記憶障害
  • 強い眠気
  • 仕事ができないレベル

以下の可能性があります。

  • 重度疲労
  • 抑うつ
  • 睡眠障害
  • 薬剤影響

患者

この集中力低下は、
治療が終われば戻るのでしょうか?

放射線治療医

多くの患者さんでは治療終了後に徐々に改善していきます
ただし無理をせず、体調に合わせて生活を調整することが大切です。


専門医コメント

放射線治療中に集中力が低下することは珍しくありません。

これは多くの場合、治療に伴う疲労(がん関連疲労)の一部として起こる症状です。

重要なのは、

  • 無理をしすぎない
  • 睡眠を確保する
  • 軽い運動を行う

といった基本的な生活調整です。

多くの患者さんでは治療終了後に改善していきます

しかし

  • 強い認知機能低下
  • 仕事に支障が出る

場合は、遠慮なく主治医へ相談してください。


まとめ

放射線治療中の集中力低下は

  • がん関連疲労
  • 睡眠障害
  • ストレス

などが原因で起こることがあります。

多くの場合

  • 一時的
  • 治療後に改善

する症状です。

対策として

  • 軽い運動
  • 睡眠改善
  • 作業量調整

が推奨されています。

放射線治療の副作用について詳しく知りたい方は

内部リンク:放射線治療の副作用まとめ(親記事)

FAQ(よくある質問)

放射線治療で集中力が低下することはありますか?

はい、あります。
放射線治療中には「がん関連疲労(Cancer-related fatigue)」の影響で、集中力や思考力が低下することがあります。これは珍しい症状ではなく、多くの患者さんが経験する可能性があります。

集中力低下はいつ改善しますか?

多くの場合、治療終了後に徐々に改善します。
研究では、数週間〜数ヶ月で回復するケースが多いと報告されています。ただし疲労や睡眠障害が続く場合は長引くことがあります。

放射線治療で記憶力も低下しますか?

疲労や睡眠不足の影響で、記憶力低下を感じることがあります。
ただし多くの場合は一時的なもので、治療終了後に回復することが多いとされています。

集中力が低下しても仕事は続けられますか?

体調が許す範囲で仕事を続けることは可能です。
ただし、集中力が低下している場合は
作業量を減らす
休憩を増やす
短時間作業に分ける
などの調整が重要です。

集中力低下を改善する方法はありますか?

研究では以下が有効とされています。
軽い運動(散歩など)
睡眠リズムを整える
作業を小さく分ける
栄養状態を整える
特に軽い運動は国際ガイドラインでも推奨されています。

運動は本当に効果がありますか?

はい。
がん関連疲労の改善には軽い運動が最もエビデンスのある対策とされています。散歩やストレッチなど、無理のない運動を週数回行うことで疲労や集中力の改善が期待できます。

睡眠不足は集中力低下に関係しますか?

大きく関係します。
放射線治療中は不安や体調変化で睡眠が浅くなることがあり、それが集中力低下の原因になることがあります。睡眠環境を整えることが重要です。

サプリメントは集中力改善に役立ちますか?

栄養不足がある場合には役立つことがあります。
ただしサプリメントだけで集中力が改善するとは限らないため、まずは食事や生活習慣の改善が重要です。使用する場合は医師に相談することをおすすめします。

強い集中力低下がある場合はどうすればよいですか?

次のような場合は医師に相談しましょう。
日常生活に支障がある
仕事ができないほど集中できない
強い眠気や記憶障害がある
疲労だけでなく、睡眠障害や抑うつなどが関係している可能性もあります。

放射線治療で脳がダメージを受けているのでしょうか?

多くの場合は脳のダメージではありません。
集中力低下は主に疲労や睡眠不足などの影響による一時的な症状と考えられています。治療終了後に改善するケースがほとんどです。


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  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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