放射線治療中のだるさ(疲労・倦怠感)|原因と対処法を専門医が解説

患者

放射線治療を始めてから、
体がすごくだるいんです…。
何もしていないのに疲れてしまいます。

放射線治療医

それは珍しいことではありません。
放射線治療中には多くの患者さんが疲労や倦怠感を感じます。

患者

このままずっと続くのでしょうか?

放射線治療医

多くの場合は治療終了後に改善します。
原因と対処法を知っておくことが大切です。

放射線治療を受けている患者さんの多くが感じる症状のひとつがだるさ(疲労・倦怠感)です。

「体が重い」
「寝ても疲れが取れない」
「何もしていないのに疲れる」

このような症状は放射線治療の代表的な副作用のひとつであり、医学的にはCancer-related fatigue(がん関連疲労)と呼ばれます。

ただし、

  • 多くの場合は治療終了後に改善
  • 対処法を知ることで症状を軽くできる

ことも分かっています。

この記事では、放射線治療中のだるさについて

  • なぜ起こるのか
  • どのくらい続くのか
  • どう対処すればよいのか

を、国際ガイドラインや最新研究の知見をもとに専門医が解説します。


放射線治療中のだるさとは

患者

普通の疲れとは違う感じがします。

放射線治療医

がん治療の疲労はがん関連疲労と呼ばれ、
休んでも回復しにくいのが特徴です。

患者

それは放射線治療の影響なんですね。

放射線治療医

はい。治療そのものや体の反応が関係していると考えられています。

放射線治療中のだるさは、医学的には

がん関連疲労(Cancer-related fatigue)

と呼ばれています。

特徴は次の通りです。

  • 強い疲労感
  • 休んでも回復しにくい
  • 身体的・精神的両方の疲れ
  • 日常生活に影響する

米国のガイドラインでは、

外部リンク
National Comprehensive Cancer Network(NCCN)

https://www.nccn.org/guidelines/guidelines-detail?category=3&id=1424

において

がん患者で最も頻度が高く、生活の質に影響する症状の一つ

とされています。


放射線治療でだるさが起こる原因

患者

どうして放射線治療でこんなに疲れるんでしょうか?

放射線治療医

いくつかの原因が重なっていると考えられています。
体の炎症反応やエネルギー消費などです。

患者

ひとつの原因だけではないんですね。

放射線治療医

そうです。睡眠や栄養状態も影響することがあります。

放射線治療中の疲労には、複数の原因が重なっていると考えられています。

主な原因は次の通りです。

① 放射線による体の炎症反応

放射線治療では、がん細胞を破壊する過程で

  • サイトカイン
  • 炎症反応

が起こることがあります。

この炎症反応が

  • だるさ
  • 倦怠感

の原因になると考えられています。

参考研究

Bower JE. Cancer-related fatigue—mechanisms, risk factors, and treatments.
Nat Rev Clin Oncol. 2014.


② 治療によるエネルギー消費

放射線治療では

  • 細胞修復
  • 組織回復

のために体のエネルギーが多く使われます

その結果、

  • 体力低下
  • 疲労感

が起こることがあります。


③ 睡眠の質の低下

がん治療中は

  • 不安
  • 生活リズムの変化
  • 痛み

などにより睡眠の質が低下することがあります。

これも疲労の原因になります。

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④ 貧血や栄養状態

次のような状態も疲労を悪化させます。

  • 貧血
  • 食欲低下
  • 体重減少

そのため、栄養状態の管理も重要です。


どのくらいの人がだるさを感じる?

研究によって差はありますが、

放射線治療患者の約60〜90%

が疲労を経験すると報告されています。

参考論文

Hofman M et al. Cancer-related fatigue.
Oncologist. 2007.


だるさはいつから起こる?

一般的には次のタイミングです。

治療開始から1〜2週間

その後、

治療後半にかけて強くなる

傾向があります。


治療後どれくらいで回復する?

多くの場合

治療終了後数週間〜数か月

で徐々に改善します。

ただし

  • 高齢
  • 長期間治療
  • 化学療法併用

などでは回復に時間がかかることがあります。


放射線治療中のだるさの対処法

患者

疲れているときは、ずっと休んでいた方がいいのでしょうか?

放射線治療医

実は、無理のない範囲で体を動かす方が疲労が改善することが多いです。

患者

運動してもいいんですね。

放射線治療医

はい。散歩などの軽い運動が推奨されています。

国際ガイドラインでは、次の方法が推奨されています。

参考
American Society of Clinical Oncology(ASCO)

https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.2014.56.1504


① 軽い運動

最もエビデンスが強い対処法は

軽い運動

です。

  • 散歩
  • ストレッチ
  • 軽い体操

研究では

疲労改善効果が最も高い方法

とされています。

放射線治療中の運動についてはこちらの記事で解説しています。

軽いストレッチや体操

研究では、軽い運動が疲労改善に最も効果がある方法とされています。

おすすめは

  • ストレッチ
  • 軽い体操
  • ヨガ

などの無理のない運動です。

ヨガマットがあると、自宅で簡単にストレッチを続けやすくなります。


② 睡眠リズムを整える

ポイント

  • 毎日同じ時間に寝る
  • 昼寝は短時間
  • 寝る前のスマホを控える

放射線治療中の睡眠についてはこちらの記事で解説しています。

睡眠環境を整えるグッズ

放射線治療中の疲労には、睡眠の質を整えることが重要です。
特に

  • 首や肩の負担を減らす枕
  • 光を遮断するアイマスク

は、睡眠の質を改善しやすいアイテムです。

疲れているときほど、寝具を少し整えるだけでも回復感が変わることがあります。


③ 栄養をしっかりとる

  • タンパク質
  • ビタミン
  • 水分

を意識して摂取します。

放射線治療中の食事についてはこちらの記事で解説しています。

栄養補助食品

疲労が強いときには

  • 食事量の低下
  • 栄養不足

が起こることがあります。

そのため、

  • マルチビタミン
  • 栄養補助ドリンク

を補助的に利用する人もいます。

ただし、サプリメントは治療の代わりになるものではありません。
使用する場合は主治医に相談することをおすすめします。


④ 無理をしない

重要なのは

「頑張りすぎないこと」

です。

疲れているときは

  • 家事を減らす
  • 休息を増やす

ことも大切です。


受診した方がよい症状

次の症状がある場合は、医師に相談してください。

  • 強い疲労で生活できない
  • 急激な体重減少
  • 動悸
  • めまい
  • 息切れ

貧血など別の病気が隠れている可能性があります。


患者

だるさがあると、治療がうまくいっているのか不安になります。

放射線治療医

疲労は放射線治療でよく見られる症状です。
多くの場合は一時的なものです。

患者

少し安心しました。

放射線治療医

つらいときは我慢せず、
主治医に相談してください。


専門医コメント

放射線治療中のだるさは、患者さんが最も多く経験する副作用の一つです。

しかし、

  • 多くは一時的な症状
  • 治療終了後に改善することが多い

という点が重要です。

最近の研究では、

軽い運動が疲労改善に最も有効

であることが分かってきています。

無理をする必要はありませんが、
可能な範囲で体を動かすことが症状の改善につながることがあります。

つらい場合は我慢せず、主治医に相談してください。


まとめ

放射線治療中のだるさは

  • 多くの患者さんが経験する副作用
  • 複数の原因が関与
  • 治療後に改善することが多い

症状を軽くするためには

  • 軽い運動
  • 睡眠改善
  • 栄養管理

が重要です。

副作用全体については、こちらの記事で詳しく解説しています。

放射線治療の副作用まとめ
(親記事)

放射線治療中にだるくなるのは普通ですか?

はい。放射線治療中の疲労(倦怠感)は非常によくみられる副作用で、多くの患者さんが経験します。研究によって差はありますが、約60〜90%の患者さんが何らかの疲労を感じると報告されています。

放射線治療のだるさはいつから始まりますか?

多くの場合、治療開始から1〜2週間ほどで感じ始めます。治療が進むにつれて徐々に強くなることがあり、治療後半にピークになることもあります。

放射線治療のだるさはいつまで続きますか?

多くの患者さんでは、治療終了後数週間から数か月かけて徐々に改善します。ただし、治療期間が長い場合や化学療法を併用している場合には、回復に時間がかかることもあります。

放射線治療中の疲労を改善する方法はありますか?

軽い運動、十分な睡眠、栄養管理などが疲労改善に有効とされています。特に軽い運動は、国際ガイドラインでも疲労改善に効果がある方法として推奨されています。

放射線治療中に運動しても大丈夫ですか?

多くの場合、無理のない範囲での軽い運動は問題ありません。散歩やストレッチなどの軽い運動は、疲労の改善につながる可能性があります。ただし体調に応じて主治医と相談することが大切です。

疲れているときは休んだ方がよいですか?

十分な休息は大切ですが、完全に安静にするよりも、可能な範囲で軽く体を動かす方が疲労の改善につながる場合があります。無理のない生活リズムを保つことが重要です。

放射線治療のだるさの原因は何ですか?

放射線による炎症反応、体のエネルギー消費、睡眠の質の低下、貧血や栄養状態など、複数の要因が関係していると考えられています。

化学療法と併用すると疲労は強くなりますか?

化学療法と放射線治療を併用する場合、疲労が強くなることがあります。これは治療による体への負担が大きくなるためと考えられています。

強いだるさがある場合はどうすればよいですか?

強い疲労で日常生活が困難な場合は、主治医に相談してください。貧血や栄養状態の低下など、別の原因が関係している可能性もあります。

放射線治療の疲労は一生続くことがありますか?

多くの場合、放射線治療による疲労は治療終了後に徐々に改善します。ただし一部の患者さんでは、長期間続くこともあるため、症状が続く場合は医療機関で相談することが大切です。


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  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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