放射線治療中の眠気|原因・対処法を放射線治療専門医が解説

最近、治療を受けていると日中ずっと眠くて困っています。

それはよくある症状です。
放射線治療中の疲労や眠気は珍しくありません。
放射線治療を受けていると、
「なぜか強い眠気が続く」
「日中も眠くて集中できない」
と感じる患者さんが少なくありません。
実はこれは、放射線治療に伴う疲労(Cancer-related fatigue)の一部としてよくみられる症状です。
放射線治療による眠気は珍しい症状ではなく、研究では30〜70%の患者が治療中に疲労や眠気を感じると報告されています。
この記事では
- 放射線治療中に眠気が起こる原因
- いつ頃から起こるのか
- 医学的に推奨される対処法
を、国際的なガイドラインや最新研究をもとに放射線治療専門医が解説します。
※放射線治療全体の副作用については
→ 放射線治療の副作用まとめ(親記事)
放射線治療中に眠気が出るのはなぜ?

でも、寝不足でもないのに、
なぜこんなに眠くなるんですか?

治療による体の修復や炎症、エネルギー消費が影響しています。
睡眠のリズムだけでなく、体の内部で疲労が蓄積しているんです。
放射線治療中の眠気は、主に以下の要因が関係しています。
① がん関連疲労(Cancer-related fatigue)
もっとも多い原因です。
がん治療では
- 炎症性サイトカインの増加
- エネルギー代謝の変化
- 自律神経の変化
などが起こり、慢性的な疲労と眠気が出ると考えられています。
NCCN(National Comprehensive Cancer Network)のガイドラインでも
がん関連疲労は最も多い副作用の一つとされています。
外部リンク
NCCN Cancer-Related Fatigue Guidelines
https://www.nccn.org
② 放射線治療による身体の回復エネルギー
放射線治療では
- 正常組織の修復
- 炎症反応
- 免疫反応
などが起こります。
これらにはエネルギーが必要なため、身体が休息を求めて眠気を感じることがあります。
③ 睡眠リズムの乱れ
治療期間中は
- 通院スケジュール
- 不安
- 痛み
- ステロイドなどの薬
によって睡眠リズムが乱れることがあります。
その結果
- 夜間の睡眠の質が低下
- 日中の眠気増加
が起こることがあります。
④ 貧血や栄養状態
治療中には
- 食欲低下
- 体重減少
- 貧血
なども起こることがあります。
これらは疲労や眠気の原因になるため、必要に応じて血液検査などで評価します。
眠気はいつから起こる?
研究では、放射線治療の眠気は以下の時期に多いとされています。
治療開始後2〜3週間頃
理由として
- 累積線量
- 体の修復反応
- 疲労の蓄積
などが考えられています。
多くの場合
- 治療終了後
- 数週間〜数か月
で徐々に改善します。
※関連記事
→ 放射線治療の疲労(倦怠感)
強い眠気が出やすい治療部位

脳の治療を受けると
眠気が特に強くなるんですか?

はい。
脳や広範囲の照射では、
神経系や炎症反応によって傾眠症候群と呼ばれる眠気が出ることがあります。
特に以下の治療では眠気が出やすいと報告されています。
脳の放射線治療
脳照射では
- 炎症反応
- 神経系の影響
により強い眠気が出ることがあります。
これは
somnolence syndrome(傾眠症候群)
と呼ばれることがあります。
広範囲照射
例えば
- 骨盤照射
- 全脳照射
- 頭頸部照射
などでは、身体への負担が大きくなり疲労感が強くなることがあります。
放射線治療中の眠気への対処法
国際ガイドライン(NCCN、ASCO)では以下が推奨されています。
① 軽い運動
意外かもしれませんが、
運動は最も効果がある対策の一つ
とされています。
研究では
- ウォーキング
- 軽いストレッチ
が疲労を改善する可能性が報告されています。
目安
- 1日10〜20分程度
- 無理のない範囲
→放射線治療中の運動についてはこちらの記事で解説しています。
② 昼寝は短時間
長時間の昼寝は
- 夜間睡眠の悪化
- 眠気の悪循環
を起こすことがあります。
推奨
20〜30分以内
③ 睡眠環境を整える
睡眠の質を高めることも重要です。
ポイント
- 寝る前のスマートフォンを控える
- 寝室を暗くする
- 毎日同じ時間に寝る
→放射線治療中の睡眠についてはこちらの記事で解説しています。
④ 栄養と水分
疲労改善のために
- 十分な水分
- バランスのよい食事
も大切です。
→放射線治療中の食事についてはこちらの記事で解説しています。
⑤ 医師に相談する
以下の場合は医師に相談してください。
- 日常生活が困難な眠気
- 突然悪化した
- 強い倦怠感
貧血や甲状腺機能などを血液検査で確認する場合があります。

眠気対策に何か便利なものはありますか?

はい、治療中の眠気や疲労対策に使いやすいアイテムがあります。
1. 低反発枕(快眠サポート)
💡 ポイント
- 首や肩の負担を軽減し、寝つきをサポート
- 治療中の睡眠リズム改善にもおすすめ
2. ストレッチマット(軽い運動・ストレッチ用)
💡 ポイント
- 自宅で簡単に軽い運動やストレッチが可能
- 放射線治療中の倦怠感改善に有効
3. マルチビタミン・ミネラル(栄養サポート)
💡 ポイント
- 栄養不足による疲労や眠気を補助
- 食欲が落ちやすい治療中でも摂りやすい

眠気は我慢するしかないんでしょうか?

無理に我慢する必要はありません。
軽い運動や生活習慣の調整で改善することも多いです。
強い眠気が続く場合は必ず相談してください。
専門医コメント
放射線治療中の眠気は、患者さんからよく相談される症状の一つです。
多くの場合は
- 治療に伴う疲労
- 睡眠リズムの変化
が原因であり、重い病気が隠れていることは多くありません。
一方で
- 貧血
- 栄養低下
- 睡眠障害
などが関係している場合もあります。
眠気が強い場合は無理をせず、主治医に相談することが重要です。
適切な生活調整や運動によって、症状が改善することも少なくありません。

治療後には眠気はなくなるんでしょうか?

ほとんどの場合、治療終了後数週間〜数か月で改善します。
日常生活でできる対策を併用すると回復が早まります。
まとめ
放射線治療中の眠気は珍しい症状ではありません。
主な原因
- がん関連疲労
- 睡眠リズムの乱れ
- 栄養状態
- 治療による身体の回復反応
多くの場合は
治療終了後に徐々に改善します。
眠気が強い場合は
- 軽い運動
- 睡眠環境の改善
- 医師への相談
などを行うことで、症状の改善が期待できます。
放射線治療で眠気が出るのは普通ですか?
はい。がん関連疲労の一部として眠気を感じる患者さんは多く、研究では30〜70%程度にみられると報告されています。
眠気はいつ頃から始まりますか?
多くの場合、治療開始後2〜3週間頃から感じることがあります。
治療が終われば眠気は治りますか?
多くの場合は治療終了後、数週間〜数か月で徐々に改善します。
昼寝をしてもよいですか?
可能ですが、20〜30分以内の短時間が推奨されています。
運動しても大丈夫ですか?
軽いウォーキングなどの運動は疲労改善に効果がある可能性があり、国際ガイドラインでも推奨されています。
眠気が強い場合はどうすればよいですか?
日常生活に支障がある場合は主治医に相談してください。血液検査などで原因を確認することがあります。
脳の放射線治療では眠気が強いですか?
脳照射では傾眠症候群と呼ばれる強い眠気が出ることがあります。
薬で眠気を治療できますか?
基本は生活調整や運動が中心ですが、症状によっては医師が治療を検討することもあります。
睡眠薬は使ったほうがよいですか?
睡眠障害がある場合には医師が処方することがありますが、自己判断で使用することは推奨されません。
いつ受診すべきですか?
突然強い眠気が出た場合や、日常生活が困難な場合は医療機関に相談してください。
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この記事の執筆者
放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。



























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