放射線治療後の「受診すべき症状」とは?|不安なときの受診目安を専門医が解説

放射線治療が終わったあと、多くの患者さんが感じるのが

  • 「この症状は大丈夫なのか」
  • 「病院に相談すべきなのか」
  • 「再発のサインではないか」

という不安です。

実際には、多くの症状は治療後の正常な経過の一部ですが、
一方で早めに受診したほうがよい症状も存在します。

この記事では、放射線治療後に

  • 受診すべき症状
  • 様子をみてもよい症状
  • 受診の判断の考え方

を、放射線腫瘍専門医の視点で解説します。

まずは全体像として、放射線治療後の不安についてまとめた
「放射線治療後の不安・心理ガイド(まとめ記事)」
もあわせてご覧ください。


放射線治療後は「受診すべきか迷う症状」がよく起きる

放射線治療後には次のような症状がよくみられます。

  • 疲労感
  • 軽い痛み
  • 皮膚症状
  • 排尿・排便の変化
  • 食欲低下

これらは多くの場合、正常な治療後反応です。

放射線治療の副作用は

  • 治療中〜数週間後に出る急性反応
  • 数か月〜数年後に出る晩期反応

の2種類があります。

このため治療後しばらくは

「これが普通なのか、異常なのか」

が分かりにくい状態になります。

実際、研究でも
治療後の患者の多くが症状の判断に強い不安を感じることが報告されています。

参考
https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.2016.69.6123


受診の目安は「3つのポイント」で判断する

受診の必要性は、次の3つで考えると判断しやすくなります。

①症状が強い

  • 強い痛み
  • 強い出血
  • 強い息苦しさ
  • 食事が取れない

この場合は早めの受診が必要です。


②症状が続く

軽い症状でも

  • 数日〜1週間以上続く
  • 徐々に悪化する

場合は、主治医へ相談することをおすすめします。


③新しく出た症状

今までなかった症状が

  • 突然出現した
  • 徐々に増えている

場合も、一度相談したほうが安心です。


すぐ受診したほうがよい症状

以下の症状は早めの受診が推奨されます。

強い痛み

痛みが強く

  • 日常生活が難しい
  • 鎮痛薬で改善しない

場合は受診が必要です。


出血

以下の場合は受診してください。

  • 血尿
  • 血便
  • 喀血
  • 大量の出血

放射線性出血や他の病気の可能性があります。


発熱

38℃以上の発熱が続く場合は
感染症の可能性があります。


呼吸苦

呼吸が苦しい場合は

  • 放射線肺臓炎
  • 感染症

などの可能性があります。


強い脱水

以下の症状は要注意です。

  • 食事がとれない
  • 嘔吐
  • 下痢

様子を見てもよいことが多い症状

次の症状は、多くの場合は経過観察で問題ありません。

軽い疲労

放射線治療後の疲労は非常によくあります。

詳しくはこちら
放射線治療後の疲労感


軽い皮膚症状

  • 赤み
  • 乾燥
  • かゆみ

は通常数週間で改善します。


軽い排尿症状

  • 頻尿
  • 排尿時違和感

は放射線膀胱炎の軽い症状としてよくあります。

詳しくはこちら
放射線治療後の排尿症状


「不安だから受診」はまったく問題ない

多くの患者さんが

「こんなことで受診していいのか」

と悩みます。

しかし実際には

不安なときは相談して問題ありません。

医療現場では

  • 副作用確認
  • 再発チェック
  • 生活相談

のために受診する患者さんは珍しくありません。

早めの相談は

  • 安心につながる
  • 症状悪化を防ぐ

というメリットがあります。


国際ガイドラインの考え方

がん治療後のフォローアップについては

  • NCCNガイドライン
  • ASCOガイドライン

などでも

症状がある場合は早期評価

が推奨されています。

参考

NCCN Survivorship Guidelines
https://www.nccn.org/guidelines/category_3

ASCO Cancer Survivorship Guidelines
https://www.asco.org


専門医コメント

放射線治療後の患者さんの多くが

「受診すべきか迷う症状」

を経験します。

重要なのは

  • 強い症状
  • 続く症状
  • 新しい症状

の3つを意識することです。

一方で、不安そのものが強いストレスになることもあります。

そのため、

「少し気になる」

という段階で相談することも、決して悪いことではありません。

医療側としても、患者さんが安心して生活できることは非常に重要だと考えています。


まとめ

放射線治療後の受診の目安は次の3つです。

  • 症状が強い
  • 症状が続く
  • 新しく出た症状

この場合は主治医へ相談しましょう。

ただし

「不安だから受診」も大切な判断です。

迷ったときは、一人で抱え込まず相談することが安心につながります。

放射線治療後の心理的な不安については
放射線治療後の不安・心理ガイド

も参考にしてください。


FAQ よくある質問

放射線治療後にどんな症状が出たら受診すべきですか?

強い痛み、出血、発熱、呼吸苦などがある場合は早めの受診が推奨されます。

軽い疲労は受診する必要がありますか?

軽い疲労は放射線治療後によくみられる症状で、多くの場合は経過観察で問題ありません。

放射線治療後の痛みは普通ですか?

軽い痛みはよくある反応ですが、強い痛みや悪化する痛みは受診をおすすめします。

放射線治療後の出血は危険ですか?

血尿、血便、喀血などの出血は受診が必要な場合があります。

発熱は受診すべきですか?

38℃以上の発熱が続く場合は感染症の可能性があり受診を検討してください。

不安なだけで受診してもよいですか?

不安な場合の受診は問題ありません。安心につながる大切な行動です。

症状が軽くても続く場合は受診すべきですか?

数日〜1週間以上続く症状は相談することをおすすめします。

新しい症状が出た場合はどうすればよいですか?

今までなかった症状が出た場合は主治医へ相談しましょう。

放射線治療後の副作用はいつまで続きますか?

急性副作用は数週間、晩期副作用は数か月〜数年後に出る場合があります。

定期フォローアップがあれば症状があっても待ってよいですか?

症状が強い場合や不安がある場合は、次の診察を待たず相談することが望ましいです。

  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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