【放射線治療後のED】原因・回復の可能性・治療法を放射線治療専門医が解説

2026年3月17日

放射線治療後のED(勃起障害)

放射線治療後に、勃起機能の低下(ED:Erectile Dysfunction)を経験する患者さんは一定数存在します。

特に以下の治療ではEDが問題になることがあります。

  • 前立腺がんの放射線治療
  • 骨盤内腫瘍の放射線治療
  • 小線源治療(ブラキセラピー)

ただし、放射線治療によるEDは手術と比べて発症がゆるやかで、回復の可能性もあります。

まずは、EDが起こる理由を理解しておきましょう。

※放射線治療中・治療後の生活全般については
【放射線治療中・治療後の生活ガイド】

※放射線治療と性機能のまとめ記事については

放射線治療と性機能


放射線治療後にEDが起こる原因

放射線治療によるEDは主に以下の3つの要因で起こります。

1. 血管への影響

勃起は陰茎への血流によって起こります。

放射線治療では

  • 陰茎海綿体へ血流を送る血管
  • 骨盤内の微小血管

が影響を受けることがあります。

時間とともに血流が低下し、勃起の維持が難しくなることがあります。


2. 神経への影響

勃起には骨盤内の神経(陰茎海綿体神経)が重要です。

放射線治療では

  • 神経周囲組織
  • 神経を栄養する血管

に影響が出ることがあります。

ただし手術と違い、神経を直接切断するわけではないため回復する可能性があります。


3. 時間をかけて進行する

放射線治療の特徴として

EDはすぐには起こらず、数年かけてゆっくり進行する

ことが知られています。

研究では

  • 治療後1年
  • 治療後3〜5年

でEDの頻度が増える傾向があります。

(引用:International Journal of Radiation Oncology Biology Physics)


家庭用血圧計

EDは血管機能と関係があることが知られています。
高血圧や血管リスクの管理はED予防にも重要とされています。

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放射線治療後のEDはいつから起こる?

放射線治療によるED(勃起障害)は、治療直後に起こることは少なく、時間をかけて徐々に現れることが特徴です。

多くの研究では、EDの発症は以下のような経過をとることが知られています。

EDが起こりやすい時期

  • 治療直後:ほとんど変化なし
  • 治療後6か月〜1年:軽度の変化が出ることがある
  • 治療後1〜3年:EDが増える
  • 治療後3〜5年:発症率がピークになる

これは、放射線治療による影響が

  • 血管
  • 神経周囲組織

ゆっくり現れるためと考えられています。

このため放射線治療では、手術とは異なり

「すぐにEDになる」のではなく、数年かけて変化する

ことが特徴です。

(参考:International Journal of Radiation Oncology Biology Physics


治療法によるED発症タイミングの違い

前立腺がんの治療法によって、EDの起こり方は異なります。

手術(前立腺全摘)

  • 手術直後からEDが起こることが多い

放射線治療

  • 数年かけて徐々に起こることが多い

そのため放射線治療では

治療後しばらく性生活に問題がなくても、数年後に変化が出ることがあります。


ED予防のためにできること

完全な予防方法はありませんが、以下が重要とされています。

  • 生活習慣の改善
  • 血圧・糖尿病の管理
  • 適度な運動
  • ED治療薬の早期使用(陰茎リハビリ)

これらは勃起機能の維持に役立つ可能性が報告されています。

(参考:Journal of Sexual Medicine


放射線治療後EDの発症率

報告によって差はありますが、

前立腺がん放射線治療後のED発症率

約30〜50%

とされています。

参考研究

  • International Journal of Radiation Oncology Biology Physics
  • European Urology

ただし発症率は以下の影響を受けます。

前立腺がんのまとめ記事についてはこちら

EDリスク因子

  • 年齢
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 喫煙
  • 治療前の性機能
  • ホルモン治療併用

特にホルモン療法併用ではEDが起こりやすくなります。


放射線治療後のEDは回復する?

結論から言うと

回復するケースもあります。

放射線治療では

  • 神経を切断しない
  • 血管機能が回復する場合がある

ためです。

研究では

治療後1〜2年で回復する例

も報告されています。

(引用:American Society for Radiation Oncology)


放射線治療後EDの治療法

現在はEDに対する治療法がいくつか存在します。

1 ED治療薬(第一選択)

最も一般的な治療です。

代表薬

  • シルデナフィル
  • タダラフィル
  • バルデナフィル

これらは

PDE5阻害薬

と呼ばれます。

多くの研究で

前立腺がん放射線治療後EDにも有効

とされています。

(引用:European Association of Urology guideline)


ピルケース(ED治療薬の管理)

ED治療薬は「必要時服用」や定期服用になることがあります。
ピルケースを使うと飲み忘れ防止や持ち運びに便利です。


2 陰圧式勃起補助具

薬が使えない場合

陰圧ポンプ

という方法もあります。

血流を人工的に増やし、勃起を助ける装置です。


3 陰茎リハビリテーション

最近は

penile rehabilitation(陰茎リハビリ)

という考え方が広まっています。

  • 早期ED薬使用
  • 血流維持
  • 勃起機能訓練

これにより

性機能の回復率が上がる可能性

が指摘されています。

(引用:Journal of Sexual Medicine)


放射線治療後のEDはどこに相談すればよい?

EDは珍しい症状ではなく、多くの男性が経験する可能性があります。
特に前立腺がんなど骨盤内の放射線治療後には、性機能の変化が起こることがあります。

しかし、EDは適切な治療で改善することも多い症状です。

相談できる診療科

EDの相談先としては以下があります。

泌尿器科

最も一般的な相談先です。
ED治療薬や必要な検査を受けることができます。

がん治療の主治医

放射線治療後の場合、まずは主治医へ相談しても問題ありません。

男性更年期外来

男性ホルモン低下が関係している場合に対応します。


EDを相談するタイミング

以下のような場合は相談をおすすめします。

  • 勃起しにくい
  • 勃起が維持できない
  • 性生活に支障がある
  • 治療後に性機能が低下した

EDは生活の質(QOL)に関わる重要な症状です。

遠慮せず医療機関に相談しましょう。


パートナーとのコミュニケーションも重要

EDは身体の問題だけではなく

心理的影響

も大きいとされています。

  • 治療への不安
  • 自信低下
  • パートナーとの関係

などが影響します。

必要に応じて

  • 主治医
  • 泌尿器科
  • 性機能外来

に相談することが重要です。


専門医コメント

放射線治療後のEDは、患者さんにとって非常に重要な問題です。

特に前立腺がん治療では、がんの治療成績だけでなく生活の質(QOL)も重要になります。

放射線治療によるEDは、手術と比べると

  • 発症がゆっくり
  • 回復する可能性がある

という特徴があります。

また現在は

  • ED治療薬
  • 勃起補助具
  • リハビリ

など、さまざまな治療法があります。

一人で悩まず、主治医や泌尿器科に相談することをおすすめします。


まとめ

放射線治療後のEDは一定の割合で起こります。

ポイント

  • EDは主に血管や神経への影響で起こる
  • 発症は数年かけて進行することが多い
  • 回復する可能性もある
  • ED薬などの治療法が存在する

気になる症状がある場合は、主治医へ相談しましょう。


FAQ よくある質問

放射線治療後にEDはよく起こりますか?

前立腺がん放射線治療後では約30〜50%の患者でEDが報告されています。ただし年齢や基礎疾患、ホルモン治療の有無によって変わります。

放射線治療のEDはすぐ起こりますか?

多くの場合、EDは治療直後ではなく数年かけて徐々に起こります。

放射線治療後のEDは回復しますか?

回復するケースもあります。神経を切断する手術とは異なり、血流や神経機能が回復する場合があります。

ED治療薬は放射線治療後でも使えますか?

多くの場合使用可能です。PDE5阻害薬(シルデナフィルなど)は第一選択治療として使用されます。

放射線治療後のEDは手術より多いですか?

手術では神経損傷の影響でEDが早期に起こることが多く、放射線治療ではゆっくり進行する傾向があります。

ホルモン治療はEDに影響しますか?

はい。ホルモン療法は男性ホルモンを低下させるためEDが起こりやすくなります。

EDを予防する方法はありますか?

完全な予防法はありませんが、ED薬を早期に使用する「陰茎リハビリ」が有効な可能性があります。

年齢はEDに影響しますか?

はい。年齢が高いほどEDのリスクは高くなります。

パートナーとの性生活は続けられますか?

多くの場合、ED治療薬などを使うことで性生活を続けることが可能です。

どの診療科に相談すればよいですか?

主治医または泌尿器科に相談することをおすすめします。


  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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