放射線治療中に吐き気が出るのはなぜ?原因・対処法・受診の目安を放射線腫瘍医が解説
放射線治療中に「吐き気」を感じることがあります。
しかし、すべての放射線治療で吐き気が起こるわけではありません。
照射する部位によっては、吐き気はほとんど起こらない場合もあります。
この記事では、
- 放射線治療中に吐き気が起こる原因
- 吐き気が出やすい治療部位
- 自宅でできる対処法
- 受診が必要な症状
について、放射線腫瘍医の立場からわかりやすく解説します。
放射線治療中の生活全般については、以下の記事も参考にしてください。
放射線治療で吐き気が起こる理由
放射線治療による吐き気は、主に次の理由で起こります。
① 消化管への放射線の影響
胃や腸に近い部位へ放射線を照射すると、消化管が刺激されて吐き気が起こることがあります。
特に以下の部位では起こりやすくなります。
- 胃
- 小腸
- 大腸
- 肝臓周囲
② 脳の嘔吐中枢への影響
脳に放射線を照射する場合、
- 脳圧の変化
- 嘔吐中枢の刺激
により吐き気が出ることがあります。
③ 化学療法の併用
がん治療では、
- 放射線治療
- 抗がん剤治療
を同時に行う化学放射線療法が行われることがあります。
この場合、吐き気の原因は抗がん剤による影響であることも多くあります。
吐き気が起こりやすい放射線治療
放射線治療の中でも、吐き気が比較的起こりやすいのは次の部位です。
上腹部への放射線治療
例
- 胃がん
- 膵がん
- 胆道がん
- 肝臓がん
これらでは消化管への刺激により吐き気が起こることがあります。
全脳照射
脳転移などで行う全脳照射では、吐き気が出ることがあります。
ただし現在は
- ステロイド
- 制吐薬
を併用することで症状はかなり抑えられています。
放射線治療による吐き気の頻度
放射線治療による吐き気の頻度は、照射部位によって大きく異なります。
研究では次のように分類されています。
高リスク
- 上腹部照射
- 全身照射
中リスク
- 骨盤照射
低リスク
- 頭頸部
- 乳房
- 前立腺
- 四肢
この分類は、国際的な制吐ガイドラインでも用いられています。
参考文献
- MASCC/ESMO Antiemetic Guidelines
- Supportive Care in Cancer
- International Journal of Radiation Oncology Biology Physics
放射線治療中の吐き気への対処法
吐き気がある場合、次の方法が役立つことがあります。
食事を少量ずつ摂る
一度に多く食べると吐き気が悪化することがあります。
おすすめ
- 少量を数回に分ける
- 消化のよい食事
例
- おかゆ
- うどん
- スープ
油っこい食事を避ける
脂肪分の多い食事は吐き気を悪化させることがあります。
避けた方がよい食事
- 揚げ物
- 脂身の多い肉
- クリーム系料理
水分をこまめにとる
吐き気があると脱水になりやすくなります。
おすすめ
- 水
- 経口補水液
- スポーツドリンク
経口補水液
吐き気があると水分摂取が不足しやすく、脱水になることがあります。
経口補水液は少量でも効率よく水分と電解質を補給できるため、体調がすぐれないときの備えとして役立ちます。
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無理をせず休む
疲労は吐き気を悪化させることがあります。
体調が悪いときは
- 十分な睡眠
- 無理をしない生活
が大切です。
ジンジャーティー
吐き気があるときは、ジンジャーティーが症状の軽減に役立つことがあります。
生姜(ジンジャー)は吐き気の軽減に関する研究が多い食品として知られています。
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吐き気が強いときは薬で治療できる
吐き気がつらい場合、制吐薬(吐き気止め)を使用することができます。
よく使用される薬
- 5-HT3受容体拮抗薬
- ドパミン受容体拮抗薬
- ステロイド
放射線治療の吐き気は、薬でかなり改善できることが多いため、我慢せず医師に相談してください。
すぐに医師へ相談すべき症状
次のような場合は、早めに医療機関へ相談してください。
- 吐き気で食事がほとんど取れない
- 水分が飲めない
- 何度も嘔吐する
- 体重が急に減った
- めまいや脱水症状がある
早めに治療を行うことで、症状を軽くすることができます。
放射線治療中の生活で気をつけたいこと
吐き気だけでなく、放射線治療中の生活では次のことも重要です。
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【内部リンク】
詳しくは以下の記事でまとめています。
専門医コメント
放射線治療による吐き気は、照射部位によって大きく異なる副作用です。
乳がんや前立腺がんの放射線治療では吐き気が出ることはほとんどありません。一方で、胃や膵臓など上腹部の放射線治療では一定の頻度で吐き気が起こる可能性があります。
現在は制吐薬が非常に進歩しており、多くの場合、薬で症状をコントロールすることが可能です。
吐き気を我慢してしまう患者さんも少なくありませんが、早めに医療スタッフへ相談することが大切です。
適切な薬の使用により、治療をより楽に受けられるようになります。
まとめ
放射線治療中の吐き気は、照射部位によって起こることがあります。
特に
- 上腹部の放射線治療
- 脳の放射線治療
では注意が必要です。
ただし現在は、
- 食事の工夫
- 生活の工夫
- 制吐薬
によって症状を軽くすることが可能です。
吐き気がつらい場合は、無理をせず医療スタッフへ相談しましょう。
FAQ(よくある質問)
Q 放射線治療で吐き気は必ず起こりますか?
いいえ。
照射する部位によって異なり、乳がんや前立腺がんの放射線治療では吐き気はほとんど起こりません。
Q 吐き気はいつから始まりますか?
治療開始から数日〜1週間程度で出ることがあります。
Q 吐き気は治療が終われば治りますか?
多くの場合、治療終了後に徐々に改善します。
Q 吐き気止めの薬は使えますか?
はい。
多くの場合、制吐薬で症状を改善できます。
Q 食事はどうすればよいですか?
少量ずつ消化のよい食事を摂ることがすすめられます。
Q 水分はどのくらい必要ですか?
脱水を防ぐため、こまめな水分補給が大切です。
Q 吐いてしまった場合はどうすればいいですか?
無理に食べず、少量の水分から再開してください。
Q 吐き気が強いときは治療を休めますか?
症状によっては一時的に治療を調整することもあります。医師へ相談してください。
Q 吐き気は抗がん剤の影響ですか?
化学放射線療法では、抗がん剤による吐き気の可能性もあります。
Q 吐き気で食べられない場合はどうすればいいですか?
栄養補助食品などを利用する方法もあります。医療スタッフへ相談してください。
この記事の執筆者
放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。


















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