トモセラピーとは?特徴・適応・IMRTとの違いを放射線腫瘍医が解説
トモセラピー(Tomotherapy)は、CT画像を利用しながら高精度に放射線を照射できるIMRT装置です。
ヘリカル(らせん)状に照射する独特の方式を採用しており、広範囲の腫瘍や複雑な形状の腫瘍に対して高精度な放射線治療が可能です。
本記事では、放射線腫瘍医の立場から
- トモセラピーの仕組み
- IMRTとの違い
- 適応となるがん
- メリット・デメリット
を国際的なガイドラインや最新研究に基づいて解説します。
トモセラピーとは
トモセラピーは、CT装置と放射線治療装置(リニアック)を一体化したIMRT装置です。
特徴は、患者の周囲を回転しながら放射線を照射する「ヘリカル照射」です。
これにより
- 腫瘍の形に合わせた照射
- 周囲臓器への線量低減
- 広い範囲の均一照射
が可能になります。
トモセラピーは2000年代に臨床導入され、現在では世界中でIMRTの一種として広く使用されています。
参考
- https://www.astrobio.org (ASTRO)
トモセラピーの仕組み
トモセラピーの最大の特徴はヘリカルIMRT(Helical IMRT)です。
通常のIMRTでは
- 数方向から照射
ですが、トモセラピーでは
- 360度回転しながら照射
します。
さらに
- 治療前にCT撮影(MVCT)
- 腫瘍位置を確認
- 位置を補正
することで、高精度の画像誘導放射線治療(IGRT)を実現しています。
参考
- Mackie TR. Lancet Oncology
トモセラピーとIMRTの違い
トモセラピーはIMRTの一種です。
| 項目 | トモセラピー | 通常のIMRT |
|---|---|---|
| 照射方式 | ヘリカル照射 | 多方向照射 |
| 画像誘導 | 毎回CT撮影 | 施設による |
| 広範囲照射 | 得意 | やや苦手 |
| 装置構造 | 専用装置 | 通常リニアック |
つまり
IMRTの中でも特殊な装置がトモセラピー
と理解すると分かりやすいでしょう。
関連記事
→IMRTとは
トモセラピーのメリット
高精度放射線治療が可能
トモセラピーでは
- IMRT
- IGRT
が組み合わさるため、高精度の線量分布が可能です。
広い範囲の照射が可能
トモセラピーは
- 脊髄
- 全脳脊髄照射
- 多発リンパ節
などの長い範囲の照射を得意とします。
これは通常のリニアックよりも優れた特徴です。
毎回CTで位置確認
トモセラピーでは治療前にCT撮影を行います。
これにより
- 腫瘍位置
- 臓器位置
を確認してから照射できるため、照射精度が向上します。
参考
- NCCN Guidelines
トモセラピーのデメリット
照射時間が長くなることがある
トモセラピーは回転照射のため
- 照射時間が長くなる場合
があります。
低線量被ばくが広がる
IMRT特有の問題として
低線量が広範囲に分布する可能性
があります。
ただし臨床的な影響は非常に小さいと考えられています。
参考
- Hall EJ. Int J Radiat Oncol Biol Phys
トモセラピーが適応となるがん
トモセラピーは以下のようなケースで有用とされています。
頭頸部がん
複雑な形状の腫瘍に適しています。
前立腺がん
IMRTの標準的適応です。
関連記事
→前立腺がんの放射線治療
脳腫瘍
広範囲照射や再照射で使用されます。
小児腫瘍
特に
全脳脊髄照射
で有用です。
トモセラピーとサイバーナイフの違い
トモセラピーと混同されやすい装置として
- サイバーナイフ
- ガンマナイフ
があります。
トモセラピー
IMRT
分割照射が中心
サイバーナイフ
定位放射線治療(SRT)
少数回照射
関連記事
→サイバーナイフとは
→SRTとは
トモセラピーの臨床研究
トモセラピーは多くの研究で有効性が報告されています。
例えば
頭頸部がんの研究では
- 高い局所制御率
- 有害事象の低減
が報告されています。
参考研究
Lee N.
Int J Radiat Oncol Biol Phys
専門医コメント
トモセラピーはIMRTの発展形の装置であり、現在でも多くの施設で使用されています。
特に
- 頭頸部がん
- 小児腫瘍
- 広範囲照射
では非常に有用です。
ただし現在では
- 高性能リニアック
- MRリニアック
なども登場しており、施設ごとに最適な装置を選択する時代になっています。
重要なのは
装置の名前ではなく、適切な治療計画が立てられるか
という点です。
放射線治療を受ける際は、専門医がいる施設で相談することが重要です。
放射線治療について詳しく知りたい方へ
放射線治療の基本や副作用、費用については以下の記事で詳しく解説しています。
- 放射線治療の初心者向け総合ガイド|仕組み・適応・メリット・デメリットまで徹底解説
- 放射線治療の副作用まとめ|症状・原因・対処・予防を専門医がわかりやすく解説
- 放射線治療の医療費まとめ|自己負担・入院費・制度・保険まで完全ガイド
まとめ
トモセラピーは
- IMRTの一種
- CTを用いた画像誘導放射線治療
- 広範囲照射が得意
という特徴を持つ放射線治療装置です。
現在でも
- 頭頸部がん
- 前立腺がん
- 小児腫瘍
などで広く使用されています。
放射線治療では装置の違いよりも適切な治療計画が重要であり、専門医による診断が大切です。
FAQ
トモセラピーとは何ですか?
CTを利用しながら高精度に放射線を照射するIMRT装置です。
トモセラピーとIMRTの違いは?
トモセラピーはIMRTの一種で、専用装置です。
トモセラピーは保険適用ですか?
はい。通常の放射線治療として健康保険が適用されます。
トモセラピーはどのがんに使われますか?
主に
- 頭頸部がん
- 前立腺がん
- 脳腫瘍
などです。
治療時間はどれくらいですか?
1回の治療は10〜20分程度です。
痛みはありますか?
放射線治療なので痛みはありません。
副作用はありますか?
照射部位によって
- 皮膚炎
- 粘膜炎
- 疲労感
などが生じることがあります。
入院は必要ですか?
多くの場合、外来治療が可能です。
サイバーナイフとの違いは?
サイバーナイフは少数回の高線量照射(SRT)です。
MRリニアックとの違いは?
MRリニアックはMRIを用いた次世代の放射線治療装置です。
関連記事
→MRリニアックとは
この記事の執筆者
放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。






















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