放射線治療の副作用:放射線皮膚炎①

2019年4月1日

 

放射線皮膚炎については新しいページにまとめなおしました。

こちらは古い記事になります。

 

 

今回は放射線皮膚炎についてです。

 

放射線性皮膚炎はほとんどの放射線治療で起こりえる症状です。これは通常の放射線治療の場合は、体の外から放射線を照射するため、放射線がかならず皮膚を通過していくからです。放射線が皮膚を通過するときに、正常の皮膚にもある程度のダメージを与えるため、結果として放射線皮膚炎が起こります。

ほとんどすべての放射線治療で皮膚炎が起こる可能性がありますが、特に起こりやすい疾患もあり、それは治療する部位が皮膚自体を含んでいるような場合で、おもに乳癌や頭頚部癌、外陰部の癌などで皮膚炎が顕著になります。

また、患者さん自身の背景によっても起こりやすい場合があり、特に糖尿病の合併や治療中も継続して喫煙している場合には皮膚炎が悪くなりやすいです。抗がん剤を放射線治療と併用している場合にも皮膚炎は悪くなりやすいです。

 

放射線皮膚炎は急性のものと晩発のものに分けられ、急性のものは治療中から治療後数週間程度にかけて見られるもので、晩発の皮膚炎はそれ以降に発症し、5~10年程度持続するような症状になります。

 

急性の皮膚炎は、その状態によって3段階に分けられることが多く、1段階目は皮膚が赤くなるような状態(発赤)、2段階目は皮膚の表面がはがれた状態で(乾性落屑)、時に限局的な水ぶくれなどを伴うもの、3段階目は広範囲が水ぶくれのような状態になって(湿性落屑)一部に出血を伴うようなものとなります。

放射線治療をうけた人のうち、およそ90%の人が1段階目以上の皮膚炎を経験し、およそ30%の人が2段階目以上の皮膚炎を経験します。

急性の皮膚炎は放射線治療が終わってしまえば徐々に落ち着いてくる症状になりますが、症状の程度が強くなれば日常生活にも支障が出るため、ひどくならないように注意が必要です。

 

実際の急性放射線性皮膚炎は治療開始後10~14日ごろから見られ、症状としては、発赤、紅斑、皮膚乾燥、乾性落屑、湿性落屑、色素沈着などとなります。

また、皮膚に炎症が起こるとともに、皮膚のバリアー機能や、バランスが崩れるため、感染に弱くなったり、アレルギー症状が出やすくなったり、紫外線の影響を受けやすくなったりします。

 

急性放射線治療の予防として重要なのは、日々のスキンケアになります。特に刺激の少ないスキンケア剤(主に保湿を目的として)を放射線治療の開始時あるいは開始直前から使用することで、その後の皮膚炎を予防することができると報告されています。初期の間は、放射線治療の副作用も出てこないためスキンケアの重要性を理解しにくいですが、最初からケアすることで最終的な症状が違ってくるため、こまめに皮膚のケアをしていくのが重要です。

また、上に書いたように皮膚は刺激に弱い状態になっているため、こすれたりするような通常なんともない刺激でも皮膚炎は悪くなってしまいます。そのため、治療を受けている間、そして治療が終わってしばらくの間は、このような刺激は避けることが望ましいです。具体的には、締め付けのつよい服装は避けて、ゆったりした服装にしたり、治療を受けている部分が紫外線に直接あたらないように注意します。また、飲酒や温泉などは避けていただいたほうがよいでしょう。

 

 

全般的なスキンケア

皮膚を清潔に保つ:弱酸性等の低刺激の石鹸で皮膚を洗う。

皮膚の保湿:刺激の少ない軟化剤等を1日に2回程度使用する。

実際に臨床で使用することが多い薬剤はヒルドイドやアズノール、ワセリンなどになりますが、市販薬でも代用できます。

(※放射線治療を受ける直前には軟膏を治療範囲に塗るのを避けるよう指導される場合もあります。実際にはほとんど影響ない場合が多いですが、施設ごとに対応が異なるため、施設の方針に沿って使用しましょう)

紫外線を避ける

衣服:治療範囲に触れる部分は綿製のものが望ましく、できれば化繊は避ける。

その他:治療範囲に近い皮膚の髭剃りは避ける、もし使用するなら電気かみそりを使う。アルコールの含有されているスキンケア剤は使わない。治療範囲には絆創膏は使用しない。治療範囲をこすったり、ひっかいたりしない。

 

かなり長くなってしまったので、今回はここまでとし、続きは次回に書いていきます。

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